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「技術士」が主人公の小説が出た!?

何と、技術士が主人公の小説である。今まで、弁理士が主人公の小説はいくつかあったが、技術士が主人公というのは初めてではないだろうか?


「追放された技術士《エンジニア》は破壊の天才です」
~仲間の武器は『直して』超強化! 敵の武器は『壊す』けどいいよね?~
著者:いちまる

とはいえ、残念ながらこの小説の「技術士」は、日本の国家資格である「技術士」とは全然別物で、そもそもこの小説の舞台は日本でもなければ、恐らく地球上でもない別の世界のようで、いわゆる「異世界ファンタジー」というジャンルの小説のようである。

小説の舞台となっているのは、多数のダンジョン(迷宮?)が存在しており、探索者(シーカー)と呼ばれる勇者たちがダンジョンに住む魔獣を倒し、ダンジョンを制圧していくような異世界である。その異世界において、探索者が使用する武器(アームズ)を作ったり修理補修したりするのが技術士(エンジニア)ということらしい。

というわけで、我々が住むこちらの世界の技術士が主人公となっているわけではないのだが、この小説の世界の技術士も探索者たちにこき使われたり、無理難題を吹っ掛けられたりと、結構しいたげられているらしい。

それでも、「誰かに頼られ、期待に応えて愛される。人生の中で当たり前に流れてゆく物事を突き詰める仕事こそが技術士なのだ」なんていう、意外とこちらの世界の技術士にも通用しそうな名言が書かれていたりするから油断できない。

もしかしたら、この小説を読んで「技術士」について興味を抱き、ネットで「技術士」について検索してみたりする読者がいるかもしれない。そこで、今の日本にも「技術士」という資格があり、多くの技術士が様々な技術分野で活躍していることを知ったり、もっと技術士について深く知ろうとしてくれるかもしれない。

「技術士」という用語をこのように使ってもらっては困るとか、超絶技巧を誇る主人公は「技術士」ではなく「技能士」ではないかとか、うるさいことは言わずに、この小説のヒットや続編の登場をじっと待ってみてもよいのではないだろうか。

「これからの技術者」 大橋 秀雄 著

以下の文章は、ブログ “Do you think for the future?” に 2006年3月24日に書いたエントリであるが、技術士という資格の今後のあり方を考える上で非常に参考になる本であり、ここに再掲する。実際、このサイトの「技術士について」というページの記述は、本書の影響をかなり大きく受けたものとなっている。


タイトルに惹かれて購入してしまったが、まえがきを読むと本書は主として理工系の大学生をターゲットとして、どんな技術者を目指すべきなのか、そのために はどのようにレベルアップしていけばいいのか、といったことを書いた本のようである。でも、実際には現在の日本や世界の技術者を巡る情勢がどうなってい て、今後どうなっていくのか、といったことについてもコンパクトにまとまっており、既存の技術者にとっても知っておいて損はない内容が詰まっている。

オーム社
これからの技術者 -世界に羽ばたくプロを目指して-
大橋 秀雄 著

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