1.技術士第一次試験
技術士第一次試験の受験者数の推移および合格者数の推移をそれぞれグラフに示します。
図 技術士第一次試験 受験申込者数
図 技術士第一次試験 合格者数と合格率
第一次試験の受験申込者数は2003年をピークに減少傾向にありましたが、2010年頃から下げ止まったことがわかります。2003年は第一次試験に合格していることが第二次試験受験のための必要条件となった年なので一気に増えましたが、現在は約20,000人強で安定状態と言えそうです。
一方、技術士第一次試験は合格率の変動が非常に激しく、平均合格率が約20%から翌年には約65%に増加するなどという極端なことも起こったりした後、ここ数年は50%程度で安定していたのですが、令和3年度は大きく合格率が低下したようです。問題の難易度にはどうしてもある程度のばらつきがあり、それが顕在化してしまうのかもしれません。
2019年(令和元年)の技術士第一次試験は、台風19号の影響で一部試験会場での試験が中止となったため、その影響を受けた受験者のために再試験が行われました。上のグラフにおいて、2019年の合格者数と合格率は、当初の第一次試験と後日行われた再試験の結果を合算して算出した数値を示しています(受験申込者数は、当初の申込者数です)。
2.技術士第二次試験
技術士第二次試験の受験者数の推移および合格者数の推移をそれぞれグラフに示します。
図 技術士第二次試験 受験申込者数
図 技術士第二次試験 合格者数と合格率
2003年(平成15年)の受験申込者数が極端に少ないの は、この年から技術士第二次試験の受験資格に技術士第一次試験合格という要件が加わったことによります。逆にその前年は駆け込み受験で人数が増えたという 経緯があるようです。それ以降は第二次試験受験資格を得た人(第一次試験合格者)が増えたこともあり、受験申込者数は順調に増えていましたが、2010年をピークに減少に転じた後、ここ数年で下げ止まり、約30,000人程度で安定しているようです。2020年(令和2年)は、新型コロナウイルスの流行に伴って試験日を変更したことなどの影響もあり、受験者数が大きく減少したようです。口頭試験日程も後ろにずれ、合格発表も例年の3月初旬から4月末に変更となりました。また、口頭試験についてはコロナ感染の影響を考慮して追試験を行い、全体で数名の方が追加合格となりました。
合格率は比較的安定しているものの、ここ15年程度は20%程度から10%程度へと徐々に低下し続けているように見えます。2017年度までは毎年約3,000~4,000人が技術士試験に合格していましたが、ここ6年間は3,000人未満に減少しています。なお、このグラフや数字は総合技術監理部門を含んでいます。また、他にも既に技術士資格を有する人が、新たに別の部門や選択科目を受験して合格した数を含んでいますから、新たに技術士になる人数とイコールではないことに注意が必要です。
合格者の年齢は次の通りです。
図 技術士第二次試験合格者の年齢
図 技術士第二次試験合格者の年齢分布
思ったよりも若いという印象がありませんか。平均年齢こそ40代前半ですが、年齢分布を見ると30代と40代で6割以上を占めています。また、合格者の平均年齢は、2018年度までの約10年ほぼ単調に増加していましたが、その後低下に転じ、2020年度はかなり大きく下がり、2021年度以降もその水準を維持しているようです。中身を見ると、40代の合格者が減っている一方で、20代、30代の合格者の割合が増加しています。今後、この傾向がどうなるのか注目していきたいところです。
ちなみに現時点で最年少の技術士第二次試験合格者は受験時25歳、合格時26歳とのことです(2021年度第二次試験合格者)。(最年少の第一次試験合格者は9歳!ですね)。
なお、JABEE認定コース修了者の第二次試験の状況は次の通りです。
表 JABEE認定コース修了者の技術士第二次試験動向
申込者(人) | 受験者(人) | 筆記合格(人) | 最終合格(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|---|---|
2006年 | 1 | 0 | 0 | 0 | - |
2007年 | 28 | 24 | 1 | 0 | - |
2008年 | 80 | 69 | 2 | 1 | 1.4 |
2009年 | 200 | 160 | 14 | 5 | 3.1 |
2010年 | 413 | 332 | 31 | 24 | 7.2 |
2011年 | 615 | 512 | 45 | 31 | 6.1 |
2012年 | 891 | 715 | 91 | 70 | 9.8 |
2013年 | 1163 | 871 | 83 | 66 | 7.6 |
2014年 | 1493 | 1159 | 130 | 106 | 9.1 |
2015年 | 1903 | 1550 | 186 | 158 | 10.2 |
2016年 | 2368 | 1906 | 282 | 249 | 13.1 |
2017年 | 2880 | 2309 | 311 | 274 | 11.9 |
2018年 | 3347 | 2635 | 253 | 221 | 8.4 |
2019年 | 3728 | 3007 | 357 | 310 | 10.3 |
2020年 | 3845 | 3079 | ? | 379 | 12.3 |
2021年 | 4848 | 3854 | 498 | 438 | 11.4 |
2022年 | 5297 | 4136 | 538 | 493 | 11.9 |
2023年 | 5765 | 4536 | 554 | 527 | 11.6 |
図 JABEE認定コース修了者の技術士第二次試験動向
JABEE認定コースを修了し、技術士第一次試験を受けずに第二次試験に合格する方がどんどん増えていて、最近では、その年度の全合格者の20%近くをJABEE認定コース修了者が占めるまでになってきました。とはいえ、JABEE認定コース修了生が毎年2万人以上誕生しているのと比べると、技術士第二次試験を受ける人はそのうちの5,000名程度ですから、まだ一部に過ぎないと言えそうです。合格率は以前は全体平均よりもやや低かったのですが、最近は全体の合格率とJABEE認定コース修了生の合格率の数値はほぼ同程度となっています。
参考サイト:JABEE 認定審査サマリーレポート