昨今、様々な組織において女性登用が叫ばれていますが、技術士の世界ではどうでしょうか。日本技術士会の最新の統計などによれば、2026年3月31日現在、技術士登録者数(実数)は104,006名であるのに対し、そのうち女性は2,924名と、わずか2.8%に過ぎません。(それでも、ようやく最近増加傾向が明らかになってきています。)
これは考えてみると驚くべき数字だと思います。弁護士、公認会計士、中小企業診断士、弁理士、医師など、数ある国家資格の中でも、これだけ女性比率の小さな資格は他にないのではないでしょうか? 当然、技術士会の会合や講演会などでは、女性の参加者は、その存在が珍しがられる程度にしか見掛けることがありません。もっとも、今までずっとそういう状況が続いているため、普段はあまり違和感を感じることがないし、問題意識も特になかったりするのが問題なのかもしれません。
最新の部門別の女性技術士数は次の通りです。
表 部門別の女性技術士登録者数
| 登録者総数 | 女性登録者数 | 比率(%) | |
|---|---|---|---|
| 機械部門 | 6,941 | 52 | 0.75 |
| 船舶・海洋部門 | 231 | 2 | 0.87 |
| 航空・宇宙部門 | 274 | 5 | 1.82 |
| 電気電子部門 | 6,587 | 25 | 0.38 |
| 化学部門 | 1,810 | 22 | 1.22 |
| 繊維部門 | 840 | 24 | 2.86 |
| 金属部門 | 1,581 | 21 | 1.33 |
| 資源工学部門 | 503 | 5 | 0.99 |
| 建設部門 | 57,815 | 1,795 | 3.10 |
| 上下水道部門 | 8,184 | 249 | 3.04 |
| 衛生工学部門 | 3,543 | 90 | 2.54 |
| 農業部門 | 5,601 | 177 | 3.16 |
| 森林部門 | 1,775 | 75 | 4.23 |
| 水産部門 | 825 | 28 | 3.39 |
| 経営工学部門 | 2,114 | 23 | 1.09 |
| 情報工学部門 | 2,418 | 61 | 2.52 |
| 応用理学部門 | 4,956 | 148 | 2.99 |
| 生物工学部門 | 350 | 37 | 10.57 |
| 環境部門 | 2,376 | 305 | 12.84 |
| 原子力・放射線部門 | 581 | 7 | 1.20 |
| 総合技術監理部門 | 17,748 | 336 | 1.89 |
| 合計(延べ) | 127,053 | 3,487 | 2.74 |
| 合計(実数) | 104,006 | 2,924 | 2.81 |
女性技術士の登録者数が一番多いのは建設部門ですが、女性の比率が一番高いのは環境部門で12.8%、それに続いて生物工学部門の10.6%となっています。機械部門は0.8%、電気電子部門は0.4%と極端に少なく、また化学部門も1.2%と平均(2.7%)を大きく下回っています。
女性技術士登録者数のトレンドをグラフにしてみました。着実に増えているようです。
図 女性技術士登録者数の推移
各部門の技術士登録者数のうち女性が占める割合の推移をグラフにしてみました。とりあえず、いずれの部門も女性の占める割合が徐々に増加する傾向があるようです。中でも、環境部門と生物工学部門の2部門は、女性の占める割合がダントツに大きいだけでなく、その伸び率も大きいことが見て取れます。この2部門以外は、女性の占める割合はせいぜい1~3%で、その伸びも比較的緩やかに見えます。
図 技術士登録者に占める女性の割合の推移
企業や大学、研究所などでは、特に化学系では、女性研究者や女性技術者の比率はかなり高い職場が多いと感じますが、技術士となるとこんなにも少なくなってしまうのは少し意外な感じです。最近は、企業の製造現場などでも、女性技術者が活躍しているのが当たり前になりつつあります。実は、修習技術者だともっと女性の比率が高い印象もあるので、状況は今後少しずつ改善されていくのだろうと思います。楽観的過ぎる見通しでしょうか?
日本技術士会でもDEI委員会という組織を設け、この現状を変えるための様々な取り組みを進めています。
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