総合技術監理部門

2014/07/20 最終更新

 

総合技術監理部門は、平成13年(2001年)度に新設された比較的新しい部門です。その名の通り、技術的なマネジメントを主とする部門なのですが、他の20技術部門の技術士が専門技術分野のスペシャリスト(specialist)であるとすると、総合技術監理部門が求めているものはどちらかというとジェネラリスト(generalist)としての知識や考え方であり、受験資格や試験方法も異なります。

公益社団法人日本技術士会が発行する「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」(通称「青本」)(第二版 2004年1月31日発行)という書籍が、この技術部門の技術士に要求される具体的な内容をまとめた入門テキストとなっています。また、日本科学技術振興機構(JST)のWebラーニングプラザ(間もなくサイトが閉鎖され、新サービスに移転するようです)でも、ほぼこのテキストに準拠した講義が eラーニング形式にて無料で受講可能で、しかもとてもわかりやすいのでお勧めです。

総合技術監理とは何か、ということについて、青本には

総合技術監理の範囲としては、主として経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理の5つの管理からなり、それに社会的規範や国際的ルールを包括した倫理感や国際的視点なども含まれる。なお、この総合技術監理において「監理」という文字を使用しているのは、総合技術監理が上述した各管理やその他の内容を総合して監督する概念であることを明確にするためである。(p.2)

と書かれています。「管理」が個々の管理技術を指すのに対し、「監理」はそれらを総合的に考える技術を指すと言えます。そのため、総合技術監理部門では、主として5つの管理のそれぞれの管理技術について知っていて、それを使えることだけでなく、組織活動やプロジェクト推進などの実際の場面において、複数の管理技術のトレードオフも考慮し、これらを総合的に勘案して判断する能力や実行力が要求されます。

私の場合、企業の工場などで管理職としてのいろいろな実務を経験をし、さらに新規技術開発プロジェクトのプロジェクトリーダーなども経験してきましたので、全体としてあまり違和感なく、すんなりと頭に入れることができました。5つの管理部門を構成する個々の技術の大部分は、実際に見聞きしたり使ったことがあるものでしたし、知らなかった技術も結構楽しく学ぶことができました。

実は、従来いわゆる管理職としてオンザジョブで体験してきた多くの技術は、うまく体系化されずに頭の中で雑然としていました。しかし、総合技術監理部門のテキストでは、これらがスッキリとした形の技術体系にまとめられており、それが非常に新鮮に感じられました。

ここで要求されているのは、常に総合的かつ俯瞰的な視点で問題を捉える力ですが、この総合技術監理の考え方を本当に使いこなせるようになれば、普段の仕事でも従来とは異なる取り組み方や解決法が見えてくると思います。また、この考え方には企業内での管理者教育にも応用できるヒントが多く含まれているのではないかと思います。現在、実際に管理者的な立場で働いている、または過去に働いていた技術者の方々、および今後管理職として働くであろう技術者の方々には、総合技術監理部門の技術体系の勉強をお勧めします。

忙しいのに無理して受験しなくても、勉強するだけでも有意義だと思いますが、どうせならちょっとだけ頑張って、総合技術監理部門の技術士資格の取得にチャレンジしてみてはいかがでしょう?

ただし、最近何やら雲行きが怪しくなってきており、総合技術監理部門の意義の見直しなども行われているようなので、今後の動向に注意が必要かもしれません。最近の議論の様子は、文部科学省技術士分科会の議事録などをご参照ください。

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