技術士について

2017/06/17 最終更新

1.技術士とは

技術士とは、技術士法において

第二条  この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

と規定されており、国家試験に合格し、登録した人だけが使用できる名称です。英文名称は、以前は Consulting Engineer だったのですが、現在はより広い分野で活躍するプロフェッショナルなエンジニアという意味で Professional Engineer (略称 P.E.Jp)となっています。

技術士はいわゆる「名称独占資格」(登録資格:register)であり、この資格を持たないものが「技術士」を名乗ることは法律で禁止されています。弁護士、弁理士、税理士あるいは医師などのような「業務独占資格」(免許:license)とは異なり、技術士でなくてはできない仕事というのは、特定の分野の業務を除いて、原則としてありません。

また、技術士第二次試験を受験するためには所定年数の業務経験が必要な点、すなわち知識だけではなく経験が要求される点も、他の国家資格とは異なる特徴といえます。

これらに加えて、技術士法には技術士を理解する上で外すわけにはいかない重要なことが書かれています。それは、技術士は公益確保や資質向上などの義務または責務を負っているということです。従って、技術士のあるべき姿とは、専門分野に関する高度な知識や経験に加え、技術者倫理にも精通し、社会的な使命および責任を自覚した、社会から信頼される技術者であるといえます。

公益社団法人日本技術士会の説明はQ&Aも掲載されており一通り目を通す価値はあるのですが、やや言葉不足で説明不足の感は否めません。公益社団法人日本技術士会としても、技術士のことをもっと多くの人に理解してもらいたいと考えており、数年前になりますが、主として子供向けに「技術士って?」というイラスト入りのパンフレットを作成しました。これはこれで、一般の方に技術士のことを説明する助けにはなりそうです。

2.技術部門と登録者数

技術士資格には、以下に示す全部で21の技術部門があります。技術士試験もこれに対応した部門別になっており、技術士になるためにはまず技術部門、およびその中から自分の専門の選択科目を選び、その部門・選択科目の第二次試験に合格したのち、登録する必要があります。総合技術監理部門を除く20部門の選択科目数を合計すると107科目もあります。ちなみに、これら各部門および専門科目の英語表記についてはこちらにあります。

  1. 機械部門
  2. 船舶・海洋部門
  3. 航空・宇宙部門
  4. 電気電子部門
  5. 化学部門
  6. 繊維部門
  7. 金属部門
  8. 資源工学部門
  9. 建設部門
  10. 上下水道部門
  11. 衛生工学部門
  12. 農業部門
  13. 森林部門
  14. 水産部門
  15. 経営工学部門
  16. 情報工学部門
  17. 応用理学部門
  18. 生物工学部門
  19. 環境部門
  20. 原子力・放射線部門
  21. 総合技術監理部門

技術士法第46条により、技術士が業務に関して技術士の名称を表示するときには、登録を受けた技術部門を明示する必要があります。技術士は、その専門分野に関する能力が認定されたものであり、その権威の及ぶ範囲はあくまでも登録を受けた分野だけということです。

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2017年(平成29年)3月末現在の技術士の登録者数は、延べ人数で106,323人、実数で87,630人となっており、その部門別の内訳は図のようになっています。(出典:公益社団法人日本技術士会 事業報告書

図からも明らかなように、建設部門の登録者数(48,181人)が圧倒的に多い(約45%)という特徴があります。ちなみに私が登録している化学部門の登録者数は1,607人で全体の約2%です。

なお、総合技術監理部門は他の20部門とは位置付けが異なり(受験資格や試験方法も異なります)、この部門を取得している技術士の多くは、先に他の技術部門の技術士資格を取得したのちに、総合技術監理部門を取得しているため、ほとんどの方は総合技術監理部門以外の部門と総合技術監理部門の両方の技術士となっています。

3.技術士への道

現在、技術士になるためのルートは以下の図に示す3通りです。総合技術監理部門以外の20部門の場合、従来からある技術士補登録+実務経験4年以上というルート(経路1)、および1次試験合格+実務経験7年以上というルート(経路3)に加え、1次試験合格(またはJABEE認定コース修了)+優れた指導者の監督の下での実務経験4年以上という3番目のルート(経路2)があります。

なお、経路3の場合には、4年間の必要実務経験期間の中に大学院での研究期間を最長2年間算入することができますから、最短で大学院修士課程修了2年後には技術士第二次試験の受験資格ができることになります。計算上は、大学院修了生の場合には最短で26歳、JABEE認定の高専修了生の場合には最短で24歳での技術士資格取得も可能となるわけですが、実際には最年少の技術士第二次試験合格者は26歳のようです。

技術士への道
図 技術士へのルート

 

試験制度は過去に何度も変更になっています。下の表に示すように、最近では平成19年度と平成25年度に技術士第二次試験の試験内容が変更になりました。基本的には、以前は経験を重視していたのに対し、最近は、若くて経験が少なくても、きちんとした教育と訓練を受けて、論理的考察力、課題解決能力および応用能力を身に付けた人が合格しやすくなったのではないでしょうか。

表 技術士第二次試験の内容

 平成13~18年度平成19~24年度平成25年度~
必須科目択一式
20問中15問
択一式
 なし
択一式
20問中15問
記述式
600字×3枚
記述式
600字×3枚
記述式
なし
選択科目記述式
600字×6枚
記述式
600字×6枚
記述式
専門・応用:600字×4枚
課題解決 :600字×3枚
経験論文記述式
600字×6枚
筆記合格者のみ
口頭試験前に提出
3000字以内
受験申込時
業務経歴票に記入
720字以内
試験時間合計7時間合計6時間合計5時間30分
口頭試験約30分間約45分間約20分間

平成25年度の変更点は次の通りです。第一次試験では共通科目が廃止となり、基礎科目は5分野各5問計25問からの各3問計15問選択だったのが、5分野各6問計30問からの各3問計15問選択に変更となりました。第二次試験は、必須科目の記述問題がなくなり、代わりに五肢択一問題が復活しました。また、選択科目の記述問題が増強され、時間と記述枚数が増えています。さらに、従来は筆記試験合格者が口頭試験前に技術的体験論文を提出していましたが、これが廃止となり、代わりに受験申込時に提出する業務経歴票に「業務内容の詳細」を720字以内で記載することになりました。詳細は技術士試験における変更点をご覧ください。

最近は、公益社団法人日本技術士会が過去問を公開しています。従来、マイナーな部門の試験問題はなかなか入手するのが困難でしたから、これはとても良い試みだと思います。(一部の出版社にとっては痛手かもしれませんが。)

第一次試験 過去問題
第二次試験 過去問題

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