2006〜2015年の降水確率ランキング

 天気予報ランキングでは「晴れ」が一番多かったのですが、降水確率はどうでしょうか? やはり0%や10%が多いのでしょうか? 例えば冬場は晴れの日が多いので、降水確率の低い日が多いとは思いますが、それでも翌日は雨が降ると高い確度で予想されている日は高い降水確率が出されるでしょうから、理想的には、降水確率は0%付近と100%付近の2種類に集約されてもいいはずで、降水確率50%などという中途半端な予報はあまり好ましくないという気もします。

 2005年の途中から始めた天気予報・降水確率の収集も10年以上が経過し、十分にデータも蓄積されましたので、過去10年間のデータをまとめ、どんな降水確率がどのくらい出されているのか、降水確率の平均値はどの程度なのか、などを明らかにしてみたいと思います。

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1.前日発表降水確率の年間発表回数ランキング

 前日発表予報においては、降水確率は翌日の0時〜6時、6時〜12時、12時〜18時、18時〜24時の4つの時間帯に分けて発表されています。

 2006〜2015年の10年間、翌日の降水確率については全部で14,608回(3,652日×4回/年)発表されています。そのうち2回がデータ収集漏れで欠損しているので残りの14,606回について単純に集計してみました。

表1.年間降水確率発表回数ランキング
(前日発表、全14,606回)
順位発表回数降水確率
14,67910%
23,1990%
32,59220%
41,34830%
597650%
650440%
748660%
836770%
929980%
1012890%
1128100%

降水確率ヒストグラム
    図1.降水確率別の発表回数

 まあ、ほぼ予想通りに低めの降水確率が多く出されており、1位が10%、2位が0%、3位が20%となっています。やはり、0%をトップに持ってくるのは勇気がいるのでしょうか?

 ちょっと面白いのは、全体的には高い降水確率の方が発表回数が少ない傾向があるのですが、0%と10%、および40%と50%のところで大小が逆転していることです。0%と10%は何となくわかるのですが、40%と50%の逆転は何故でしょう? しかも40%は50%の半分程度しか出されていないのですね。

 降水確率90%は128回で全体の0.9%(114回に1回)ですが、降水確率100%はわずか28回で全体の0.2%(522回に1回)と極端に少なくなっています。さすがに降水確率100%はよほどのことがないと出されない予報ということになりそうです。

 さて、この降水確率と発表回数から降水確率の平均値を計算すると、20.6%となります。
(平均降水確率値 = 煤i各降水確率値×各発表回数)/全発表回数)

2.前日発表降水確率の月別発表回数ランキング

 次に、月別の降水確率傾向を見るため、前日発表の降水確率を月別に集計し、各月のベスト3を示します。

表2.月別降水確率発表回数ベスト3
(前日発表)
第1位第2位第3位平均降水確率値
1月0%10%20%12.9%
2月0%10%20%17.2%
3月10%0%20%18.6%
4月10%0%20%21.4%
5月10%0%20%21.3%
6月10%20%30%27.1%
7月20%10%30%27.0%
8月10%20%30%23.4%
9月10%20%30%24.8%
10月10%0%20%21.7%
11月10%0%20%17.5%
12月10%0%20%14.4%

 6月〜9月の4か月間だけ、降水確率30%がベスト3に入ってきていますが、それ以外の8か月間は降水確率0%〜20%が上位3位を分け合っています。

 各月の平均降水確率値を見ると、冬場は10%台、夏場は20%台と年間の降水傾向が明確に見て取れるようで興味深いところです。

3.発表日別の降水確率発表回数ランキング

 前日の予報では降水確率は6時間毎の4つの時間帯のそれぞれについて発表されますが、2日前〜7日前の予報では24時間毎の降水確率予報となっており、単純に比較することはできません。ここでは、発表日別の降水確率予報を年間トータルで集計し、発表日別のベスト3を示します。

表3.発表日別降水確率発表回数ベスト3
(年間トータル)
発表日第1位第2位第3位平均降水確率値
前日10%0%20%20.4%
2日前20%10%30%33.3%
3日前20%10%30%32.3%
4日前20%30%40%32.2%
5日前20%30%40%31.7%
6日前20%30%40%31.2%
7日前30%20%40%30.7%

 2日前〜7日前予報は、前日予報とは少し異なっています。前日発表の降水確率のベスト3が10%、0%、20%であるのに対し、2日前〜7日前発表の降水確率のベスト3には0%は顔を出さず、10〜30%または20〜40%と、やや高めの数字が上位を占めています。

 ベスト3の数値だけを見ると、より先の予報では、より高い降水確率が出やすいように見えますが、平均降水確率値で見ると、2日前から7日前にかけて、順番(単調)に平均降水確率値が小さくなっているのがとても興味深いところです。

 前日発表の降水確率は、対象となる6時間に(降水量1mm以上の)降水の有る確率であるのに対し、2日前〜7日前発表の降水確率は、対象の24時間に降水の有る確率ですので、単純に比較することはできません。例えば、明日の降水確率が6時間ごとに、0%、0%、40%、40%となっているとき、平均降水確率値は20%となりますが、明日1日のどこかで降水のある確率は40%と考える方が良さそうに思えます。

 極端なケースで、来年1年間に1mm以上の降水のある確率を算出すれば、まず間違いなく100%と言っていいはずです。いつかは必ず降水があるような状況の下では、降水確率予報の対象となる時間(期間)が長くなればなるほど、降水確率値は高くなるでしょう。というわけで、24時間を対象としている降水確率と6時間を対象としている降水確率を単純に比較することはできないわけですが、この前日発表の降水確率と、2日前〜7日前発表の降水確率の差をどう評価したらいいのか、ちょっと今のところお手上げ状態です。

 降水確率0%の予報は、前日発表ではランキング第2位で、この10年間に3,199回も出されています。そのうち、実際に1mm以上の降水があった(予報がはずれた)のは4回で、約0.1%。まあ降水確率0%でも1000回に1回程度は雨が降ることがあるということになります。ちなみに、この4回は、2006/11/15(18〜24時)の降水量6.5mm、2007/6/11(6-12時)の降水量8mm、2007/6/11(12-18時)の降水量2mm、2009/8/24(12-18時)の降水量5mm。いずれも、降水量が1mmといった少量ではなく、比較的たっぷりと降っているところにも注目してみたいところです。2010年以降は降水確率0%の予報で実際に降水があったことはないのですが、これは予報精度が向上したことを示しているのかもしれません(2010年以降に、降水確率0%の予報の回数が減っているような傾向は見られません)。

 一方、2日前〜7日前の週間天気予報では、降水確率0%の予報はめったに出されていない極めて珍しい予報となります(詳細は末尾の集計表を参照願います)。降水確率0%は、この10年間に2日前予報で2回、3日前予報で2回、4日前予報で1回出されているだけで、5日前〜7日前予報では1回も出されていません。しかも、この2日前〜4日前予報で降水確率0%が出されていたのは全て1月、それも全部2010年の1月でした。つまり2010年の1月を除くと、週間天気予報で降水確率0%という予報は、この10年間に1度も出されていないのです。2010年の1月に一体何があったのでしょうか? (担当者がこのときだけ違っていたとか、コンピュータプログラムを一時的に変更したとか??)(ちなみに、降水確率0%と予報されたこれらの日(2010年1月8日、1月9日、1月16日、1月24日)は、いずれも実際に降水はありませんでした。)

 降水確率100%の予報は、前日発表でも10年間に28回しか出されていないのですが、2日前〜7日前発表の週間予報では1度も出されていません。90%の予報は、この10年間に2日前発表で50回、3日前発表で17回、4日前発表で1回、5日前〜7日前発表では0回です。80%の予報も6日前と7日前の予報では0回です。ということで、先の予報程、降水確率が10〜60%付近に集中する傾向が見られます。まあ、先の予報ほど確度が低下するはずなので、これは仕方ないことだと思います。

 例えば7日前発表の降水確率値の分布は、次のグラフ(図2)のように降水確率30%を中心に集まっており、図1に示した前日発表の降水確率値の分布とはかなり様子が異なっています。

降水確率ヒストグラム
    図2.降水確率別の発表回数

 実は、何も考えずに、降水確率30%という予報を毎日出していれば、年間トータルでの適中率はかなり高い結果となるはずですけど、それじゃわざわざ予報を出す意味がないわけで。。 そういう意味では、気象庁の行っている降水確率の検証だけでは、ちょっと物足りないという気がしませんか?

4.降水確率の月別推移(予報と実績)

 発表日別に、月ごとの平均降水確率値を算出し、これを折れ線グラフにしてみました。
降水確率トレンド
    図3.月別の平均降水確率の推移

 前日発表の平均降水確率値と2日〜7日前発表の平均降水確率値には、10〜15%程度の差があるものの、年間の推移は同じ傾向を示しています。冬場に低くて夏場に高いという全体傾向がある中で、何故か8月の降水確率が落ち込んでいるところが気になります。5月も落ち込んでいますが、五月晴れ(旧暦と新暦の違いはあるけど)という言葉もあるように、比較的晴天の日が多くなりそうなイメージがあります。8月の場合、7月までは梅雨で降水確率が高め、9月は台風や秋雨で降水確率が高めということでしょうか。

 では、実際の降水状況はどうだったのでしょうか。降水確率は雨が降る確率なので、実績(雨が実際に降ったかどうか)と比較が可能です。ここでは降水確率予報の答え合わせとして、同じ2006〜2015年の期間について、実際に1mm以上の降水のあった日数を月ごとに集計し、まとめてみました。

表4.1mm以上の降水のあった日数実績
2006〜2015年
 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月11月12月合計
20063681013813891197105
2007464148101231084689
2008369121411615121188115
200974971013147412135105
2010291312912112131476110
2011195514107111096794
20124810101012123141079109
2013348891210810124593
20145797915136910106106
2015787126121212155127115
合計396782971021151107510610280661041

 年によってバラツキが大きいのですが、10年分を平均して見てみると、どうやら傾向が見えてきます。ここでは、平均降水確率値と比較できるように、月ごとに実際に降水の有った日数を対象の日数で割った数値を、平均実績降水割合(%)として求めてみました。

表5.月別の平均実績降水割合(%)
2006〜2015年トータル
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月11月12月合計
降水日数396782971021151107510610280661041
対象日数3102823103003103003103103003103003103652
降水割合12.623.826.532.332.938.335.524.235.332.926.721.328.5

これを図1と同様の折れ線グラフで示すと次の通りとなります。
降水実績トレンド
    図4.月別の平均実績降水割合の推移

 図3と図4を比較すると、驚くべきことに(?)とても良く似た傾向を示してます。疑問のあった8月の降水確率値の落ち込みも、むしろ実績の方が激しく落ち込んでいることから、問題はなかったようです。東京の8月は思ったよりも雨の降る日は少ないようです。これなら東京オリンピックも問題ない?(むしろ暑すぎる問題の元凶か?)

 平均実績降水割合の値を平均降水確率値と比較すると、ほぼ同じ数値範囲に収まっています。本来、これらの数値はほぼ同一の値になってしかるべきと考えられますので、その意味では、ここで得られた結果は降水確率予報値の正確性を示すものと言えるかもしれません。ただし、細かく見ると、降水確率の方が平均値がやや高めなこと、特に1月の降水確率値が実績に対して高すぎることなど、いろいろとズレも見えているので、改善の余地はありそうです。

5.詳細データ(2006〜2015年集計結果)

 降水確率集計(PDF)  降水確率グラフ(PDF)


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最終更新: 2016/10/07
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